「スプートニクの恋人」村上春樹

初版 1999.4. 講談社

村上春樹に何が起こったのだろう。
これまでの作品の結末から大きく踏み出して、
彼は取り戻す。失われたものは戻る。戻る。
どこにもいけなかった。どこにでも行くことができる。

彼が取り戻すのなら、私もいつか取り戻すことができるのだろう。
間に合うのなら。

「どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。」

さみしくて泣くことがあります。
世界でどのくらいの人が、こうやってさみしさを感じているのだろう、 と必死に想像します。
うまく想像できると、 さみしいのは私だけではないのだとおもってすこし落ち着くのです。

部屋に帰るとひとりだから寂しい、というよりは外にいて、
多くの人の中にいるあいだにさみしさがどこからか降ってくるような気持ちです。
人の中にいるとさみしさが降ってくる。厚くつもってゆく。
部屋にかえって、泣いてもいい場所にかえってから、
つもったさみしさを溶かす分だけ涙をながします。

そのくりかえしです。
でもすこしずつ、涙では溶かしきれないものがこびりついているような気がします。

このままではどこへも行くことができません。

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