薄い、字の大きい、かもめの写真がたくさん収められた本です。 70'sのアメリカではやったそうで、日本でも話題になったのでしょうか、私の生まれる前の本ですが題名は何度か聞いたことが有りました。 生きるためにただえさを捜し、食べ、眠るだけの生活をすてて、もっとうまく飛ぶこと、速く、自分の限界を超えることを目指すかもめのお話です。 私がこの本を手に取ったのは、以前オウム真理教の幹部の人、あの、刺殺された人だったでしょうか、彼がこの本を読んで出家したという記事をどこかで読んだからでした。
五木寛之が解説に書いているとおり、 「食べることは決して軽侮すべきことではない」です。生活すること。寝て、起きて、食べて、働き、お金を稼いで食べ物を買い、食べて眠ること。これらはとてもすばらしいことです。人間の営み、欲求を満たそうとする行為は健康な美しさを持っていると私は思います。
でも、私にはそれら「俗世的」なことを捨ててもっと「高次の」ものを求めたいという心も分かります。かもめが群れをでて自分の限界を超える能力を求めたような心です。 ただ生き、死んでいくような今の生活を捨てて何かもっと高い理念に生きたいという憧れの気持ちです。わたしはこの憧れをいつも心の底に持っています。一生持ち続けると思います。
でも、自分が人間の体をもっていることを忘れたくはありません。この体は美味しいもの食べたいし、きれいな物見たいし、眠るのも好きで、気持ちいいことしたいのです。 こんな自分の体を否定するところに本当に「よい」ものが有るはずはないと思います。 でも、また一方では、違う価値観の人生に憧れるのをやめられないのです。
本当はどちらがいいのか、分かる日はこないかもしれません。ただ私は、こうやって迷いつづけることが私の人生なのだと信じています。(98.1.27)