「ホリー・ガーデン」江國香織

1998.3.新潮文庫(親本:1994.9新潮社)


読み終わって私の心も変化しました。果歩と一緒に。

果歩が、昔の恋人にもらった紅茶茶碗を、ほかの男性と紅茶を飲むために出せるようになるまでのお話。

その、青いバラの紅茶茶碗をだすと果歩が言ったとき、自分のことのように嬉しかったのです。

昔の恋人にもらったものほど始末に困るものはない。
茶碗とか、自分では何気なく使っていても(今の)恋人がそれを使おうとすると「あ、それはだめ」と言ってしまったりする。

私は、高校生のころバレンタインのお返しにもらった大きな熊のプリントのバスタオルをずっとつかえなかった。
1年前から自分では使えるようになった。
そして今の恋人がうちでシャワーを浴びた後にかしてあげられたとき、自分でも驚いた。

数えてみると、そのバスタオルをもらってからもう6年にもなる。

以前付き合っていた人とのことを、穏やかに思い出せるようになりつつあるらしい。
6年かかってるけど。すこしづつ。

思い出しても、泣かなくなった。取り乱すほど、苦しくはならなくなった。体をつぶすような後悔に、おそわれなくなった。

すこしづつ、当時のことをオブラートにくるむようにして、心の奥底にしまう。
「おもいで」になった。少しさみしいけれど。

中野君の「早くお嫁にもらってあげないと、果歩さんもああなっちゃうかもな」って台詞がとても好きです。(99.1.17)


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