「銀の匙」

中勘助
角川文庫

赤ん坊が生まれたら銀の匙がほしい。銀の匙で食べた赤ん坊は一生食べ物に困ることがないという。小さな、美しい、銀の匙がほしい。

そうおもっている私がこの「銀の匙」を手にとったのは当たりまえのことだったのかもしれません。作者も聞いたことがないし、どんなお話かも分からなかったけれど。

何のことはないお話かもしれません。男の子が産まれて、育つ物語。語り口が読みやすくて、引き込まれてしまっているうちに日清戦争がはじまって「いつの時代の作家なのだろう」と疑問に思って確かめたら大正のころ、夏目漱石と同時代の作家でした。

あやとり、お手玉、かごめかごめ、、、たくさんの遊びが描かれて、心楽しかった遊びを思い出しました。主人公の「□ぽん」は幼いうち病弱だったため、女の子とばかり遊んでいるのです。わたしが幼い頃と同じ遊びがたくさんあって、うれしくなります。
最近電車の中で7歳くらいの女の子があや取り用の毛糸をいじっているのを見かけました。
20年近くたっても子供は同じ遊びをしている。この物語の頃から変わらないと考えれば100年近く、子供はあや取りをしているのですね。

あや取りの糸が「お慧ちゃん」の手首にかかる描写が非常にエロティックです。 (2001.1.27)

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