山田詠美(1993.3.新潮社)
「山田詠美いいよ」と先輩にすすめられた作品です。私も、山田詠美をすすめるときにはまずこれをあげることにしています。高校生の男の子、秀美が主人公です。
人生ってやつにおけるアフォリズムの宝庫です。秀美の生活を通して、たくさんの言葉が流れ込みます。それはきっと「かっこいい大人になる」ためのいくつかのヒント。
自分の高校生だったころ、何を考えていたんだっけ。思い返すと、そのころのことが今の自分にしっかりと刻み込まれていると感じます。たのしかったこと、なやんでいたこと、泣いて、誠実であろうと思ったこと。その当時は分からなかったことも、今振り返ってみるといろんな意味が見出せるなんて。そう、何でもないようにおもえていたことが、私の人生になんてたくさんの意味を与えたことだろうと、改めて驚くのです。
あとがきで山田詠美が「主人公の時田秀美は高校生だが、私は、むしろ、この本を大人の方に読んでいただきたいと思う」と書いています。大人になるほど、高校生のころから受け継がれている自分に気づいて、どきどきできることでしょう。(気づけるくらいの感性を持っているならね)
文庫には原田宗典の解説付き。これもなかなかです。(97.9.16)